第3話「POWER TO THE PEOPLE」

2011/07/26 1:37 に Editor M が投稿   [ 2011/07/26 1:40 に更新しました ]

『東日本大震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 被災された方々には心よりお見舞い申し上げますとともに一刻も早い復興を プーケットよりお祈り申し上げます。』

プーケットから3月13日に一時休暇で帰国する予定であった私は3月11日に家でTVを見ていた。 NHK WORLDからリアルタイムで流される映像は受信状況が悪いせいか乱れて見えた。 NHK WORLDは英語の放送なのだが、しばらくその放送に見入っているうちに、 映像が悪いわけではなく、津波が土砂と一緒に流れ続けているのだということがわかり、 固まってしまった。

スマトラ地震による津波が発生し、プーケットが被災したのは2004年12月26日。あれから6年余りで今度は日本で津波が発生した。 絶句としかいいようがない。 刻々とニュースが入ってくるにつれて、被害の拡大がどこまで及ぶかわからなかったために、 一旦帰国を中止した。今現在、3月20日。 これ以上、状況が悪化することがないように祈るしかない。

さてプーケットには日本人在住者の方が数百人公式に登録されている。 働いている人もいれば、その子供たちもいるし、リタイヤで移り住んでくる人たちも数多い。 私のゴルフ仲間W氏もそのうちの一人だ。彼はこちらで商売をしているが、 今回の大震災でキャンセルなどのダメージがじわじわと出始めたようだ。

そのW氏が電話をくれた。「震災の影響で暇になるかもしれないので、その時を利用してゴルフの練習をするのは 不謹慎ですかね」ということだ。 私はこういった。 「スマトラ地震のときもそうだったけど、経済を活性化させるためにできるだけこれまでと同じ生活ができる人は自粛する必要はないと思うんだよね。 もちろん無駄は省く必要はあるけど。だって普通に活動できる人が必要以上に自粛してしまうと、 さらに経済が冷え込み、その悪影響が被災者の人たちを苦しめることになるので、 やりたいことをどんどんやればいいんじゃないかな」

私がスマトラ地震による津波をプーケットで体験した後、 およそ一週間でダイビングの営業を再開した。その時は日本からHPに匿名の書き込みがあり、こんな時期に営業再開は不謹慎だと言われた。 そうですか、不謹慎ですか、そう思うなら自分の目で今のプーケットを見ればどうですか、そしてそれでも不謹慎と思うのであれば、一緒に議論しましょうと問いかけた。

するとそれ以降、書き込みはなくなってしまった。 今回の大震災が抱える問題はスマトラ地震で被害を受けたタイの比ではないかもしれない。 また原発という大きな問題を抱えている。しかし、おそらく私達がそうであったように 風評被害で苦しむ人たちが多く出てくるに違いない。

スマトラ地震による津波の被害は二つあった。 ひとつは津波そのものがもたらした物理的な被害。 そして実はそれ以降、私達在住者に圧し掛かってきた風評被害だった。 風評被害のダメージはプーケットだけで言えば物理的なダメージよりもひどかったと思う。

一年以上も閑古鳥が鳴き、開店休業状態に陥った。 その理由は報道の仕方である。それまでは一般的な日本人らしく、報道の内容を鵜呑みにしてきた。 だってNHKは嘘をつくことはないと日本人なら誰でも信じるはずである。もちろん民放各局もしかりだ。

だが、このスマトラ地震による津波の被害を取材していた報道すべてに私は怒りを感じるようになった。 そう、プーケットでは今、水が悪いのでシーフードはちょっと避けたほうがいいですよと報道しながら、仕事が終わった後に生ガキを食べていた彼らのことを。

すでにプーケットが復興してからも、被害状況が激しかった建物だけを映し、 何度も何度も津波の映像を流し続けた。海外の報道大手CNNやBBCは当初一ヶ月間、そのような報道を続けたが、復興が目覚ましくなってきたときには視点を変えて、 いかに現在復興しているかということに焦点を変えた。 だからヨーロッパ人の観光客はすぐに戻ってきた。

が、我が国の報道は一年以上にもわたり、飽きることなく津波の映像を流し続けた。 それ以降、非常に残念な結果だが私は自分が生きている限り、 日本の報道というものを鵜呑みにしないと心に誓った。 自分で判断することの重要性を強く感じたからだ。

今回の大震災はタイの震災とは違って対岸の火事ではない。 だから今回だけは少なくとも、日本の報道が偏りなく、そして透明であることを信じたいと思う。 プーケットでは震災直後からタイ人が得意のマイペンライを連発した。

マイペンライとは、 「大丈夫だよ!」 「ぜんぜん問題ない!」 「何とかなるよ!」というような意味だ。 彼らの前向きさというか、生命力には恐れ入る。だから私もゴルフをやめない。 だってやめる必要もないしね。 これまでと変わらない生活を営みつつ、被災地に向けて自分ができることをする。 これしかないから。

ジョンレノンは歌った。 そして今日、渋谷で内田裕也さんが歌った。 [ POWER TO THE PEOPLE] http://www.youtube.com/watch?v=Wos-dDxpJlQ 東北の人たちに力を・・・。